第33話 本質を考える② 真心①
マネジメントのヒント
本質を大切にすることをお話ししています。
それでは、人に対する時の心の本質はあるのでしょうか?
人によっていろいろな意見があるでしょうが、私は、真心ではないかと思っています。
真心は、その人がもっとも大切している想いだからです。
第33~35話で、人の本質「真心」を思う時、忘れられない3つのお話しをます。
一人目は、石原慎太郎元都知事です。
2011年の東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、原子炉冷却のため、放水作業に赴(おもむ)いた、東京消防庁ハイパーレスキュー隊員達からの活動報告を受けた時のことです。
石原元都知事は、「みなさんの家族や奥さんにすまないと思う。ああ…、もう言葉にできません。本当にありがとうございました」と、涙を隠さず、深々と礼をされました。
チーム派遣を検討する時には、言葉で表せないほど危険という状況しか分かっていませんでした。
派遣された隊員は、ある人は家族と水杯をかわし、ある人は心配させないため「福島に行く」とだけ伝え、決死の思いで出発しました。
後に都知事は、この活動を「まさに命がけの国運を左右する戦い。生命を賭して頑張っていただいたおかげで、大惨事になる可能性が軽減された」と称賛したそうです。
実際に、現場の放射線量は、毎時300ミリシーベルトという高い数値を示し、放水開始後、44トンを放水したところで、1人の隊員から放射線量計のアラームが鳴り、撤収したそうです。
ちなみに、シーベルトは放射線が人体に及ぼす影響の数値で、人間が1年間浴びても大丈夫とされる基準値は1ミリ・シーベルトです。
石原氏には、送り出す先の危険な状態も、隊員達の気持ちも、その家族の思いさえも、自分のこととして感じていたに違いありません。
そこには、決して他人事ではなく、派遣された方・残された家族と、同じ気持ちがあったのだと思います。
だからこそ、多くの部下がついていくのだと思います。