第6話 思い込み①「従事者はやる気がある」その3
よりよい組織作りのために
本コラムは、よりよい組織作りのヒントを目指しています。
前話では、従事者と向き合い、従事者を知ることの大切さをお話しました。
第6話では、従事者にやる気を引き出す方法を考えます。
これからお話しすることは、小阪裕司先生の下記本をもとにしています。
「仕事ごころ」にスイッチを!―リーダーが忘れてはならない人間心理の3大原則&実践術 フォレスト出版 2002年8月
もう20年近く前に読んだ本ですが、とても具体的で分かりやすかったです。
① なぜやるかを伝える
従事者に仕事を任せるときは、何をするか・どの様にするかだけでなく、何故するかも伝えることが大切です。
改善理由や、改善の大切さがわかれば、守ることの大切さが分かり、気持ちよく新しいルールを守るだけでなく、現場から新しい改善が出てくることもあります。
② ねぎらう
従事者をねぎらうことも重要です。
先に紹介した小阪先生の書籍の中で、「ねぎらい」には、相手に対する敬意が込められていることと紹介されています。
作業が終わって丁寧に清掃をしている従事者に「おっ、作業後で疲れているだろうに、丁寧に清掃してくれてありがとう」、原料置き場の整理整頓ができていたら「この状態、僕はこの状態にしたかったのだ。これなら清掃しやすいよ。ありがとう」
ご理解いただけますでしょうか?ただの「ありがとう」との違い。
疲れているのに丁寧に作業していること。清掃しやすい様に工夫して整理整頓してくれたこと。それをしてくれた人への感謝を超えた敬意が込められています。
敬意を込めることはなかなか難しいです。敬意を込める(人を尊敬する)にもトレーニングがいると思っています。
敬意を込めるのが難しい場合は、まずは感謝から始めて下さい。
心から感謝することも本当は難しいです。しかし、小さなことでも従事者の努力を見つけて「ねぎらえるようになる」と、ねぎらわれた従事者のやる気は維持され、明らかに現場はよくなっていきます。
③ 期待する
これはただ相手に期待するということです。
人は相手の気持ちを読みとります。
「どうせ駄目だ」と思って接したら本当に駄目な仕事をしてしまいます。
言葉で伝わるのは7%で、それ以外の非言語は93%といいます。
つまり思っても無いようなことを言っても、すぐにばれるということです。
良い仕事をしてもらうためには、心から相手に期待して、言葉と態度で示すことが大切です。
「ねぎらう」も「期待する」も、心のあり方が問われます。
次回は、2番目の思い込み、「人は考えてうごく」についてお話します。